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地域医療のカルテ
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座談会「コロナ後に見えてきた、真に必要な医療連携とは」◆Vol.3
座談会「コロナ後に見えてきた、真に必要な医療連携とは」◆Vol.3
地域医療のカルテ 2022.07.26

座談会「コロナ後に見えてきた、真に必要な医療連携とは」◆Vol.3

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かかりつけ医をセンタープレイヤーに急性期はワンポイントリリーフで

安藤:加えて、将来的には総合診療医の数が多くなるべきだと思います。その教育も必要です。全部広く教えるというのはなかなか難しいと思いますが。

張替:大学は専門家の集まりなので、総合診療を教育して人材育成するのは難しく、確かに先生が期待されるような人材育成のシステムは十分ではないかもしれません。藤森先生、人材の育成も含めて将来的に慢性期の療養型や包括ケアに対する体制はもっと必要になりますよね。

藤森:病床数としても、医療の厚みとしてもものすごく必要になります。今後、患者像が変わってきて、より高齢者が増えてシンプルな急性期が減り、より複合的な疾患を持つ患者さんが増えて単科の枠では収まらない患者さんをどのように診ていくのかというフェーズに入っていきます。ただ、現状としてはそれらを診る医師は少ないです。大学病院には総合診療医はわずかしかいませんし、若手に任せるわけにはいかないという遠慮もあると思います。専門家の集まりのなかで、どこの科にも属さない複数疾患の患者さんを診る医師を育てるのはやはり難しいところです。

安藤:医師だけでなく看護師も含めて、若いうちから総合診療を目指せる教育のシステムとモチベーションを保てるような仕組みがあればと思います。

張替:課題の一つですね。宮城県?仙台市では急性期が少し過剰にあって、クリニックとの間を結ぶ慢性期が足りないのは事実ですし。

安藤:回復期や慢性期病床の不足は、仙台市の医療の大きく変えていかなければならないところです。私としても、覚悟を持ってこの問題に取り組むつもりです。

藤森:役割分担のための医療機関同士のマッチングと市民への啓蒙が鍵となりますね。期待しています。仙台市は医療資源が豊富なので市民も困っていないのですが、実際に自分の親が手術をしていざ退院となった時に初めて困るんですね。当事者が困らないような仕掛けが必要で、それには、やはりかかりつけ医を持つことが重要なのだと思います。社会的処方になりますが、病気だけではなく、介護も含めてトリアージをすることも必要になりますね。

安藤:確かに紹介という連携のほかに、提案することが多くなってきているように思います。患者さんに対しても提案して、一緒に考えましょうと。

藤森:かかりつけのクリニックの先生方がセンタープレイヤー、急性期病院はワンポイントリリーフ。患者さんからはどうしても急性期病院が中心に見えてしまいがちですが、これから人生100 年時代で自分のライフコースを考えれば急性期病院に入院するというのはわずか数ヶ月です。一方、かかりつけ医にかかるのは20 年、30 年。

張替:医療連携はどうしても急性期病院も含めて経営的な議論になりがちですが、患者さんにとっても役割分担がベストだということですね。安藤先生、最後に大学病院に期待することをお聞かせください。

安藤:やはり、大学病院は開業医から見れば、困った時の切り札です。それぞれの専門家としてトップの医療を続けていただきたい。今日、この座談会に参加させていただいて大学病院に通う患者さんのフォローアップが大事だと改めて思いました。紹介先の病院は色々ですが、大学病院は開業医にとっても別格です。そういった覚悟で、大学の先生には頑張っていただきたいと思います。

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安藤 健二郎(あんどう けんじろう)
1986年東北大学医学部卒業。東北大学第二外科、カリフォルニア大学アーバイン校などを経て、2000年あんどうクリニック、2007年あいのもりクリニック、2013年じょうなんファミリークリニックを開院。2020年仙台市医師会会長に就任。
藤森 研司(ふじもり けんじ)
1991年北海道大学大学院内科系専攻博士課程修了。札幌医科大学、北海道大学病院などを経て、2013年12月より東北大学大学院医学系研究科医療管理学分野教授に就任。2014年より東北大学病院 病院長特別補佐。
張替 秀郎(はりがえ ひでお)
1986年東北大学医学部卒業。東北大学医学部第二内科、米国ロックフェラー大学研究員などを経て、2007年に東北大学大学院医学系研究科血液免疫病学分野教授に就任。2012年より東北大学病院 副病院長。

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